人はだれでも年を取ります。
高齢になると体のあっちこっちに不具合が出てきます。
ピカピカの新車がいつの間にか中古車になって外見は色あせてエンジンや足回りに故障が出てくるのと同じです。
従って、これまでは来院していただいてた患者さんが加齢による身体の不自由で来院できなくなったという場合にどのようにしたらこれまでのように歯科治療を継続していくか。
医科では昔から往診と言って患者さんの家庭を医者が訪問して診察する制度がありました。
しかし歯科ではありませんでした。
昨今の在宅あるいは介護施設で通院の歯科治療が困難な高齢者を対象にした歯科訪問診療が制度化されてきました。
また、口の汚れの除去、いわゆる口腔ケアが高齢者の誤嚥性肺炎の予防にもなるということで希望が増えています。
地域包括支援センターとの協力のもと治療器材を抱えて居宅での歯科治療が行われています。
とはいってもすぐさま出来るわけではありません。
それは歯科医院の看板は良く見かけますがその割には訪問歯科診療を行っている歯科医院は非常に少ないのをみれば明らかです。
何故か、それは歯科医院の多くが一人の歯科医で運営されているからです。
訪問に行けば通院患者の診療はできなくなりますから、仮に依頼があっても直ぐには応じられないのが現状です。
東松島市鳴瀬歯科診療所も震災前まではそんな状況でした。
しかし何とかしないと折角これまで機能していた歯が虫歯や歯周病になってどんどん悪くなってしまったのではこれまでの苦労が水の泡になってしまうじゃないか、何とかしなければという思いに駆られ震災を契機にスタッフを増やし、訪問歯科グループを構成しました。
現在、代診の先生2名と専属の歯科衛生士を含め5名で訪問歯科診療を担っています。
施設入居者の場合、身体機能が不自由であったり認知機が不十分であったりする場合が多く通院のような治療内容にするのは非常に困難です。
が、日々の生活を充実させて有意義な毎日を過ごしていただくために奮闘しています。