東松島市鳴瀬歯科診療所です。
平成23年3月11日 午後2時46分
宮城県沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震に伴って、高さ20メートルを超える大津波が沿岸から2キロも内陸にあった診療所にも押し寄せました。
東日本大震災の発生です。
診療室の玄関ガラスが破壊され、内部の診療室内は器具や診療録が散乱し、診療台もレントゲン撮影機も全部が使用不能になってしまいました。
地区住民は、住宅や隣人を失い、仮設住まいを転々とせざるを得ない状況になってしまいました。
私もまた、診療する場所と術をなくして呆然自失の状態でした。
そんなときに
「何やってんだ!求めている人がいるじゃないか!」と励ましてくれたのが被災地の口腔ケア支援に駆けつけてくれた東京の同僚たちです。
そんな彼らに励まされながら、住民のいる避難所に出かける訪問診療に同行させていただきました。
20数年開業医として鳴瀬地区住民の歯科診療に従事していましたが、そこには診療室があり、レントゲン設備があり、スタッフがいてといった環境でしたから、それこそ簡易型器械だけでの被災現場での訪問診療は驚きの連続でした。
来院していただくのではなく、求めている人のいる場所にこちらから足を運ぶ診療の意義に感動を覚え、診療所の再開後は訪問診療を始める決心をしました。
震災から7年が経った現在、非常勤の3名の先生や、スタッフも含め総勢12名で訪問診療を重視した診療スタイルの充実に努めながら診療所を運営しています。
「東松島市鳴瀬歯科診療所」と長い名前になっていますが、始まりは「鳴瀬歯科診療所」でした。
40年前のこの地域には歯科医院がなかったので公設として発足した町営の歯科診療所だったのです。
30年前に私が引き継いだ時に公設民営となり、平成6年に隣町の矢本町との合併時に今の名前となり、民間診療所に移管し今に至っています。
「東松島市鳴瀬歯科診療所」
通称「鳴瀬歯科診療所」のモットーは、保険診療で最高の歯科医療を住民の皆さまに提供することです。
院長 五十嵐 公英